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席画での講話

文房四宝()

写意画と工筆画

人物画への誘い

 

 

 

   文房四宝

 中国の文人が書斎(文房)で用いる道具のうち、筆・墨・硯・紙4種をいい、文房具愛玩の歴史は漢・魏・晋代までさかのぼり、10世紀五代のころ書斎がはっきりした形をとるにつれて盛んになった。特に南唐の李U(りいく)がつくらせた李廷珪墨、南唐官硯、澄心堂紙、呉伯玄筆は「徽州(きしゅう)四宝」と呼ばれて珍重され、文房具の歴史の基礎を築いた。(日本大百科全書から)

 

筆の歴史

秦の蒙恬(もうてん)将軍が筆を初めて作ったという説が有名だが、実際には殷時代の甲骨片に筆を用いたと思われる文字が書き残されている。現在確認できる最古の筆は戦国時代の楚の遺跡から発見された「長沙筆」である。一方、現存する日本の最古の筆は、正倉院御物の「天平筆」で主に兎毫・鹿毫・狸毫を用いた紙巻仕立てである。

筆の産地

■現在の中国の筆は、山羊毛が中心で蘇州、上海、湖州、杭州などが主な産地である。一般的に日本の筆に比べると腰が弱く、穂が抜けやすく、痛みがはやいといわれ廉価である。浙江省呉興県善l鎮の「湖筆」が最も名高い。

■日本の筆は、中国の筆に比べて弾力があってバランスに優れ比較的永く使えるが、価格は高めである。

伝統工芸品として経済産業省に認定されているのは

・熊野筆(広島県熊野町) ・・・書道用筆、画筆、化粧筆、誕生筆などがあり、生産量は全国第1位。

・川尻筆(呉市)   ・・・・江戸時代から始まった筆づくりは全国シェアの約20%である。

・奈良筆(奈良市) ・・・・兎毛毫に鹿毛を混じえて筆先に一層の柔剛を与えて書き味の良さを加え技法を

完成した。

・豊橋筆(豊橋市) ・・・・他の筆に比べて墨になじみやすく、滑るような書き味が特徴である。生産量は

全国第2位。

他に、江戸筆仙台御筆大阪筆など。

筆の太さ

■和筆(日本製筆)

メーカーにより寸法は異なり、統一されていない。

号数

軸直径

適性

特大筆

16.5mm

条幅用

大筆

1号

2号

3号

4号

15.0mm

14.5mm

13.0mm

11.0mm

半紙1字書き         半切2行程度

半紙2字書き         半切2行程度

半紙4字書き

半紙6字書き

中筆

5号

6号

7号

10.0mm

8.5mm

7.6mm

半紙68字書き       仮名条幅

半紙812字書き       仮名条幅

半紙20字書き         中字仮名

小筆

8号

9号

10号

6.7mm

6.0mm

5.5mm

一般書簡用           仮名細字

一般書簡用           仮名細字

一般書簡用           仮名細字

 

■唐筆(中国製筆)

項号・大号・二〜五号の区別のほか、大楷・中楷・小楷・寸楷や、仁・義・礼・智・信などがあり呼称は様々である。

筆の長さ

■和筆

  超長鋒 ・・・ 柳葉(りゅうよう)ともいう。根元の直径と穂の長さが6倍以上のもの

  長鋒  ・・・・ 根元の直径と穂の長さが4.56倍のもの

  中鋒  ・・・・ 根元の直径と穂の長さが34.5倍のもの

  短鋒  ・・・・ 根元の直径と穂の長さが23倍のもの

  超短鋒 ・・・ 雀頭筆(じゃくとうひつ)ともいう。根元の直径と穂の長さが2倍以下のもの

  こうした区分は統一規格でなく、業者やメーカーによって異なる。

■唐筆

超長鋒は鶴脚など、超短筆は玉筍などがある。

穂の材料

■用毛の柔剛

  剛毛 ・・・・ 狸・イタチ・鹿・馬・イノシシなど同一の獣毛で作られ、弾力が強い。約7割程度まで使用したものが剛毛筆。

  柔毛 ・・・・ 羊・猫・兎などの毛で作られ、柔らかくしなやかで墨含みの良い耐久性に富んだ筆、線に表現力がある。710割の柔毛を使ったものが柔毛筆。

  兼毛 ・・・・ 剛毛と柔毛を混ぜて作られる。

■毛の種類

  馬毛 ・・・・ 胴毛、たてがみ、脚毛、尾など全身の毛が用いられ、部位により毛質が異なる。弾力のある天尾

(尻尾の付け根のあたりの毛)は太筆に、胴毛は柔らかく粘りがあり上毛に用いられる。

  (さん)(よう) ・・・・総じて羊毛は柔らかく、粘りがあって墨含みがよい。耐久性がよく、太筆、細筆ともに使われる。

  ()(もう) ・・・・ 毛先が硬く、大変弾力がある。先の効きがよいので筆先に力が欲しい時に使われる。日本狸の白毛は

特に上質である。

  イタチ毛 ・・毛全体に弾力があるため重用される。毛先が細くまとまりも良いので仮名筆に多く用いられる。

          狼毫(ろうごう)コリンスキーは中国東北地方に生息するイタチの一種である。

  猫毛 ・・・・ 毛先に柔らかさと粘りがあり、仮名筆、面相筆に最適。玉毛。

  鹿毛 ・・・・ 毛質が大変弾力があり主に筆の腰の部分に用いられる。毛が植物の茎のように中が空洞になって

おり、大変墨含みが良いのが特徴である。

  豚毛 ・・・・ 力強く毛筋にくせがあり、枝毛も多いことから、刷毛、画筆に多く用いられる。

  (さん)() ・・・ 馬毛より腰が強く、ごわごわとした手触りだが高価。

  兎毛 ・・・・ 毛先がよく、弾力性に富む。紫毫(しごう)

一種類の毛だけでつくられるのが純毫(じゅんごう)、複数の毛材を混ぜ合わせたものが(けん)(ごう)である。

筆の選び方

明の時代の屠隆は良筆の条件を言い表すのに「筆の四徳」としている。

筆の四徳

  『尖』 ・・・・ 穂先の部分がとがっていること。鋭く先がきき、まとまりがあることが大切である。

  『斉』 ・・・・ 穂先全体がよく整っていること。多くの毛材が一本の筆となるようにバランスよく配する。

  『円』 ・・・・ 穂全体がきちっと円錐形になっていること。墨を含んだとき穂全体がふっくらしている。

  『健』 ・・・・ 穂先の腰の弾力がほどよく、筆運びがスムーズであること。

水墨画用筆

付立(つけたて)筆

 水墨画・日本画を描く基礎になるもので面的な表現、没骨法に使われる。穂が長めで毛並みがよく揃い、穂の中心部に腰のしっかりとした毛が入って、描いたときに弾力性があって、筆をひねったときの復元力のある筆が良い。大・中・小の種類がある。いわゆる「長流」「玉蘭」など。

線描(せんがき)筆

 「削用」 ・・・ 穂先での硬い線と根元での塗り込みの両用。

 「則妙」 ・・・ 柔らかくまろやから線に向き、線の強弱もつけやすい。彩色にも使用できる。

 「如水」 ・・・ 羊毛特有の上品な柔らかい線に向く。

面相(めんそう)筆

 腰が強く、特に細い線を描くのに使用する。人物画の顔・毛髪・花鳥画の毛描きなど。

連筆(れんぴつ)

 筆を数本重ねた形なので、刷毛より穂に厚みと弾力がある。淡墨でぼかして白い雲海や曇り空を表現するなど。

刷毛(はけ)

 紙全体に水を塗ってぼかしたり、広い画面を描いたり、ぼかしたりするときなど。

彩色筆(さいしき)

 やや短鋒でふっくらとして彩色に使う。絵の具をたっぷり含んで塗るため、細かい彩色から広い面の彩色まで自在に使える。

隅取(くまとり)筆

短鋒で遠近、凹凸、陰影などのぼかしに使用する。

筆の持ち方

書道では筆の構え方が大切である。

■腕の構え方

  懸腕法(けいわんほう) ・・・ 大筆で書く場合の構え方で、肘を軽くはり、宙に浮かせて構え、自由に動かせる

方法で、肩に力が入らないよう注意する。

  提腕法(ていわんほう) ・・・ 中字や細字、仮名を書く場合の構えで、肘を軽く机すれすれで滑るように書く。

  沈腕法(ちんわんほう) ・・・ 左手の甲を右手首の枕にし、左手を移動させるとともに右手を動かす。小筆を

使い細かい文字などを書く方法。

  着腕法(ちゃくわんほう) ・・・ 硬筆で書くときのように、机上に右手をつけて書く。

■筆の持ち方

  単鈎法(たんこうほう) ・・・ 親指と人差し指一本を軸にかけて軽く持つ。人差し指は軸の前に出し、細かい文字

をだすことができる。親指と筆軸が直角をなす。

  双鉤法(そうこうほう) ・・・ 親指と人差し指と中指とを二本軸にかけて持つ。筆の動きがゆるやかになるので

力強い文字を書くのに適する。

筆のおろし方

固め筆

筆の毛の部分を糊で固めており、購入時には毛の中身を見ることができない。

穂先から根元に向けて、穂を回しながら指で少しずつ揉みほぐす。太筆は基本的に根元まで全部おろし、糊を落とすため水洗いをする。小筆は全部おろさず、1/3ほど慎重におろす。糊を落とすまで、すぐに墨をつけないことが大事である。

捌き筆(さばきふで)

購入時に中の毛まで吟味できる。比較的毛質の良い大きいサイズの筆に多くみられる。水を入れた腕などで穂を軽く揺すって水洗いし、汚れをとる。

筆の保管

■洗い方

使用後は穂の中に墨が残らぬよう、水かぬるま湯でしっかりと洗う。根元に墨が残ると毛切れや穂割れの原因になる。穂を洗う際、石鹸、シャンプーやリンスは決して使用しないこと。毛を傷めたり、墨含みを悪くする。

洗った後は反故紙などで水分を拭い、穂の形を整え筆架にかけるなどして日陰で乾燥させる。筆先を上にして立てておくと水分が穂を伝わって付け根を腐らせ脱毛することになる。

買ったときのキャップ(サヤ)は運搬時の保護用なので取り付けない。カビや毛腐りの原因となる。

■保管

風通しの良い「筆巻き」に巻いておく。新しい筆は虫に食われやすいので、缶や桐箱に防虫剤を入れて保存しておく。

資料提供 : 「呉竹」ホームページ、可成屋「書画の娯しみ」、芸術新聞社「墨スペシャル26号」

 

 

 

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