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◆ 文房四宝 中国の文人が書斎(文房)で用いる道具のうち、筆・墨・硯・紙の4種をいい、文房具愛玩の歴史は漢・魏・晋代までさかのぼり、10世紀五代のころ書斎がはっきりした形をとるにつれて盛んになった。特に南唐の李U(りいく)がつくらせた李廷珪墨、南唐官硯、澄心堂紙、呉伯玄筆は「徽州(きしゅう)四宝」と呼ばれて珍重され、文房具の歴史の基礎を築いた。(日本大百科全書から) |
◆紙の歴史 ■中国紙 前漢代の紙出土品が確認されており、蔡倫は製紙法を考案したとされる。隋・唐代製作技術は高まり、茶毘紙・縦簾紙・色麻紙など種類が豊富となり、宋代には竹を原料とした紙も登場し、清代以降に画仙紙が作られた。 ■和紙 現存する最古の紙は正倉院に残る戸籍用の楮紙である。平安時代には“流し漉き”という画期的な方法が編み出され、主原料は麻、楮、雁皮、三椏となる。 |
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◆紙の原料 ■中国画仙紙(本画宣、本画箋、本画仙紙) 画仙紙とは大判の書道用紙で、中国では「宣紙」と呼ぶ。中心的な産地は安徽省(宣城・寧国・太平・県)、福建省。中国画仙紙は稲藁に青檀(せいたん)の樹皮を混合させたものといわれる。県の「紅星牌」が最高の宣紙のブランドとされている。福建省には、竹の繊維を主原料とした唐紙がある。近年台湾産の画仙紙もある。 ■和画仙紙(雅仙、画箋) 流し漉き技法によって強くて長い繊維が絡みあっている。 ・楮(こうぞ) ・・・ 全国各地に分布し栽培も容易で収穫量も多い。繊維が太くて長く、繊維同士が絡み合うため、 破れにくく強度がある。書画以外の生活用具としても使用される。 ・雁皮(がんぴ) ・・・ 繊維が短く緻密なためスベスベした感触の紙となる。害虫に強く保存・耐久性に優る。 栽培ができないので野生のものを採取。 ・三椏(みつまた) ・・・繊維は細く短く、やや強さに欠けるが吸水性に優れ、柔軟で光沢がある。しなやかな紙質で 日本紙幣や箔合紙に使われる。墨が滲まず滑らかに書けるので書写、手紙に向く。 |
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◆紙の種類 ■中国宣紙 ・単宣 ・・・ 1枚漉きの薄い宣紙。日本で一番使われている。繊細な墨の滲み、発墨が良い。 ・夾宣 ・・・ 単宣を2回重ねて漉いたもの。非常に腰が強いので筆圧をかけるものに適する。 1枚ずつ漉いた紙を2枚重ね合わせたものを二層夾宣という。 ・煮礁宣 ・・・光沢があり紙がよく締まっている。現在は機械でローリングされているものが多い。 ・玉版宣 ・・・きめ細かく、厚手だが柔らかく光沢があって滑らかな高級紙。 ・羅紋宣 ・・・漉き目模様が残って単宣より薄い。台湾産が多い。 ・蝋箋 ・・・ 紙に蝋引きしており光沢のある加工紙。多彩な色と紋様が描かれている。 ・亀甲宣紙 ・・極めて薄く、亀甲紋様が漉かれている。 ■和紙 ・麻紙(まし) ・・・ 強靭なうえにしなやかで手触りが柔らかく、見た目には光沢がある。写経用紙、日本画用紙。 ・楮紙 ・・・・ 柔軟かつ強靭で光沢がある。奉書紙・障子紙・書画用紙・表具用紙など。代表的なものに 石州紙(島根県)、奉書紙(福井県)、細川紙(埼玉県)、美濃紙(岐阜県)、美栖紙(奈良県)など。 ・雁皮紙 ・・・ 半透明で光沢があり、最もきめが細かく美しい艶がある。薄手のものは仮名書き用、厚手のものは 鳥の子紙と呼び、仮名書き料紙、日本画紙に使用。越前鳥の子紙(福井県)、土佐簿様雁皮紙 (高知県)、加賀雁皮紙(石川県)など。 ・三椏紙 ・・・ 繊維が柔軟できめの細かい紙肌を作るのに適し、書道仮名用。三椏半紙(鳥取県)、石州三椏紙 (島根県)、改良半紙(愛媛県)など。 ・混合紙 ・・・ 藁半紙と呼ばれるものがあった。 |
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◆ドーサ引き 書道・水墨画・日本画などを描く際、墨の滲みを無くして濃淡の変化の美しさを発揮する場合がある。紙・布などの滲みを止める方法として.一番利用されるのが、「ドーサ(礬水)引き」である。 ドーサ引き ➡ 膠の薄い溶液に少量の明礬(みょうばん)を溶かし合わせた液を紙などに塗布する作業 ドーサ引きでない紙を生紙(きし)、ドーサ引きの紙を熟紙(じゅくし)という。 |
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◆紙のサイズ ■画仙紙
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◆紙の単位 ■画仙紙 1反=100枚、1包=(多くの場合)50枚入り ■半紙 1〆(締め)=2000枚、1箱=1000枚=半〆 |
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◆紙の保存 紙の保管には ・湿気のない通気性の良い場所 ・直射日光を避けた場所 ・長期保存する場合には乾燥剤、防虫剤をいれる紙は製造後ある程度の時間を経たほうが、墨ののりが良い。寝かせる期間は最低でも1〜2年、手漉きの本画仙紙は10〜20年ごろが使いどきという話もある。 |
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◆絵画寸法表(日本画・油絵)
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資料提供 : 可成屋「書画の娯しみ」、芸術新聞社「墨スペシャル26号」