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席画での講話

文房四宝()

写意画と工筆画

人物画への誘い

 

 

 

   文房四宝

 中国の文人が書斎(文房)で用いる道具のうち、筆・墨・硯・紙4種をいい、文房具愛玩の歴史は漢・魏・晋代までさかのぼり、10世紀五代のころ書斎がはっきりした形をとるにつれて盛んになった。特に南唐の李U(りいく)がつくらせた李廷珪墨、南唐官硯、澄心堂紙、呉伯玄筆は「徽州(きしゅう)四宝」と呼ばれて珍重され、文房具の歴史の基礎を築いた。(日本大百科全書から)

 

硯の起源

西周の墓から長方形の石板調色器が出土している。顔料をのせ研磨具ですりつぶすための石版で、硯の前身と思われる。硯の最古の出土は秦代の磨石を伴った素朴な石硯である。前漢代には次第に硯の形が扁平な円形に整えられ、後漢には彫刻された蓋や三本足がついたり、陶磁製が現れたり、かなり人工的な硯になる。唐代のころに端渓硯、歙州硯も採掘された。

日本では平安時代あたりまで陶磁硯が使われたようだ。

鋒鋩(ほうぼう)

墨が早く磨れるためには鋒鋩の良いものが望まれる。鋒鋩は硯石に含まれる石英・銅・鉄などの小さな結晶で、これが墨を磨る際におろし金のような役割を果たす。鋒鋩があまり粗く、たくさんありすぎると墨が早くおりる代わりにドロリとなる。反対に鋒鋩が細かすぎると、いつまで磨っても墨がおりず、艶やかな墨色が出ない。

端渓硯(たんけいけん)

産地

広東省高要県の南東斧柯山の山麓

硯石を掘るための洞口(硯坑)があって、石質が違う

 ・老坑 ・・・ 最高級、「水巌」と称する

 ・坑仔巌 ・・・老坑に次ぐ

 ・麻仔坑 ・・・かつては老坑に匹敵すると評価された

 ・宋坑 ・・・ 比較的安価

 ・梅花坑 ・・・ 色合いに趣はあるが硯材としては下級とされる

 ・緑石坑 ・・・ 現代物はあまり良質ではない

採石年代

古端渓・・・唐代、五代、宋代、元代、明代、清代   新端渓・・・それ以降

が最も多く、他に青、黒、深紫、赤紫、青みがかった浅紫、灰色、黄色を帯びた色、白など

端渓硯の魅力に石紋の美しさがある

 ・魚脳凍 ・・・ 魚の脳骨のように透き通った白い紋様。白の中に黄味があって少し青みを

帯びる。

 ・蕉葉白 ・・・ 芭蕉の葉っぱのようにみずみずしく、緑かかった白い紋。

 ・青化   ・・・ 青い花模様のような紋。

 ・火捺  ・・・ あたかも火の燃えるような火炎を押した紋、磨墨には適さない鑑賞用。

ほかに天青、翡翠、金線・銀線、冰紋、氷裂紋など。

石眼

鳥の眼のような模様で、石蓮虫の化石といわれた

石質

硬からず柔らかからず、均等な硬さ

鋒鋩

大きさが適当で、均等に林立している

磨墨発墨

優れている、磨り味は滑らか

歙州硯(きゅうじゅうけん)

産地

安徽省歙県竜尾山一帯

硯坑には羅紋坑、眉子坑、金星坑など十坑

採石年代

唐代、五代、宋代、元代、明代、清代    宋以降は流通量が激減

色・紋

青黒色、金星・銀星、羅紋、角浪紋、眉子紋、魚子紋など

石質

比重が重く比較的硬く、叩いたとき金属的な高い音がする

鋒鋩

優れている、磨り味は豪快で墨色も真っ黒になる

磨墨発墨

良好

澄泥硯(ちょうでいけん)

産地

自然石説と泥を焼成したとする焼成硯説とがある

採石年代

焼成硯は清代初期ごろまで作られた

鱔魚(せんぎょ)(くすんだ黄色)、緑豆砂(緑いろ)、蟹殻青(黒色)、魚肚白(白色)など

石質

きめ細かく堅実で色鮮やか

鋒鋩

細かく強靭

磨墨発墨

良好

洮河緑石硯(とうがろくせきけん)

産地

甘粛省洮県の洮河

採石年代

主として北宋中期  河の氾濫により採石場所が不明のため短期間で途絶えた

色・紋

黄緑色、さざ波のような風波紋があり、評価が高い 雲紋、気紋、点状紋など

石質

粘板岩

鋒鋩

極めて細かく、肌に光沢がある

磨墨発墨

大変優れている

他に松花江緑石硯(吉林省松花江上流域採掘、緑、黄色系の縞状模様)、紅糸石硯(山東省青州黒山に発見、黄褐色に紅色糸状模様)。

雄勝(おがつ)硯

産地

宮城県石巻市雄勝町 『玄昌石』

採石年代

室町時代初期から、元和年間伊達政宗に献上、伝統的工芸品

純黒色光沢、暗い藍色

石質

硬質粘板岩

鋒鋩

荒さ、細さ、堅さ、柔らかさに良いバランス

磨墨発墨

大変優れている

赤間硯

産地

山口県宇部市西万倉、下関市厚狭郡楠町

採石年代

室町時代製硯業創始したとある。鎌倉時代源頼朝が鶴岡八幡宮に奉納、伝統的工芸品

赤茶色、赤みを帯びたチョコレート色の紫雲石、紫青石、紫玉石など

石質

赤色頁岩(けつがん)、粘りがある

鋒鋩

小さく、一定でみっしりと立つ

磨墨発墨

大変優れている

那智黒石(なちぐろいし)硯

産地

三重県熊野市神川町周辺(和歌山県那智勝浦町は産出地でない)

採石年代

平安時代から 『神上石』『神渓石』

黒色光沢

石質

硬質粘板岩、硬く緻密

鋒鋩

比較的少なく緻密

磨墨発墨

磨墨の早さではやや劣るが、墨の吸い付きがよい

雨畑(あめはた)硯

産地

山梨県南巨摩郡早川町

採石年代

元禄時代の雨宮孫右衛門説と永仁時代の日朗説あり

漆黒

石質

黒色粘板岩

鋒鋩

ほどよく均一

磨墨発墨

良好

ほかに龍渓硯(長野県、黒雲母粘板岩)、蒼龍硯(高知県、青黒粘板岩)、土佐硯(高知県、黒色粘板岩)、高島硯(滋賀県、灰青黒色粘板岩)、紅渓石硯(宮崎県、淡紫色頁岩)、高田硯(岡山県、黒色粘板岩)、紫雲石硯(岩手県、あずき色の粘板岩)、小久慈硯(茨城県、黒色硅質頁岩)、鳳来寺硯(愛知県)、若田硯(長崎県、淡青灰黒頁岩)など。

呼称

■形での呼び方

  ・長方硯 ・・・・ 最も一般的な形

  ・円硯/・方硯 ・・・・ 円形/正方形の硯

  ・六稜硯 ・・・・ 六角形の硯

  ・八稜硯  ・・・・ 八角形の硯

  ・板硯  ・・・・ 池のない板状の硯

  ・太史硯 ・・・・  高さ10cmくらいの長方形で、硯裏を左右残して削り取った硯

硯のサイズ

■和硯

「五三寸」(幅三寸×長五寸、約90×150cm)、「小四六」(約106×167cm)、「大四六」(約120×180cm)など。

■唐硯

硯の大きさは「縦の長さ」吋(インチ)で表す。1吋は2.5cm。長方硯の縦対横の比率は328吋の硯は縦が20cm、横13cmくらいとなる。

墨と硯の相性

一例として油煙墨は煤の粒子が細かく均一なので、鋒鋩の細かい端渓硯に適し、粒子が大きく不均一な松煙墨は、鋒鋩が鋭く粗めの歙州硯や澄泥硯に相性が良いといえる。

硯の取扱い

■メンテナンス

使い終わったらその都度、水かぬるま湯でよく洗い、墨のカスを落とす。余分なカスが残ると次に使うとき発墨が悪い。水気を拭き取り、日陰で乾かす。

泥砥石

長く使っているうちに鋒鋩が磨減して墨おりが悪くなる。鋒鋩が磨減した硯は、硯面が光って見え、指で触ると滑るような感覚になる。硯専用の泥砥石を使い、墨堂(硯の岡)に少量の水を垂らし、円を描くように研ぐ。砥石は小さいもので研ぐ面を平たくし力を入れすぎないことがポイント。研ぎ、水洗い、拭き取り、乾燥後の硯墨堂が白く見え、指でさすると吸いつくような感触となって鋒鋩が立つ。

資料提供 : 各硯製造者ホームページ、可成屋「書画の娯しみ」、芸術新聞社「墨スペシャル26号」

 

 

 

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